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「何聞いてたの?」
「<yu-ri>」
問いに即答しながら嘉穂の手からヘッドホンを取り返す。
少し嘉穂はむっとした顔をしたが、佐那は気にせず、首にヘッドホンをかけた。微かに歌声がまた聞こえ始める。
「ホントに好きだね」
嘉穂が呆れたように呟いた。
「いい曲だから仕方ない」
佐那が答えると、ふーんと嘉穂が声を漏らした。
「じゃあ、今度聞いてみようかな?今聞いてたのは何ていう曲?」
「あー…、
これは“night away”ってやつ」
耳元の曲を確認し、プレーヤーの電源を切った。
「最近の曲?」
「違う、結構古い…」
2ndシングルだった気がする、と説明を付け足す。
すると嘉穂が思い当たったように口を開く。
「あ、そっか。
yu-riって、今活動休止中だったね…」
「ん……」
佐那がちょっと寂しそうに頷くと、嘉穂がしまった、と肩を強ばらせた。
「あ、ごめ…」
「でさ、結局何?」
佐那は嘉穂を遮り、不機嫌そうに本来の目的を聞いた。
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