第1話

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「何聞いてたの?」 「<yu-ri>」 問いに即答しながら嘉穂の手からヘッドホンを取り返す。 少し嘉穂はむっとした顔をしたが、佐那は気にせず、首にヘッドホンをかけた。微かに歌声がまた聞こえ始める。 「ホントに好きだね」 嘉穂が呆れたように呟いた。 「いい曲だから仕方ない」 佐那が答えると、ふーんと嘉穂が声を漏らした。 「じゃあ、今度聞いてみようかな?今聞いてたのは何ていう曲?」 「あー…、 これは“night away”ってやつ」 耳元の曲を確認し、プレーヤーの電源を切った。 「最近の曲?」 「違う、結構古い…」 2ndシングルだった気がする、と説明を付け足す。 すると嘉穂が思い当たったように口を開く。 「あ、そっか。 yu-riって、今活動休止中だったね…」 「ん……」 佐那がちょっと寂しそうに頷くと、嘉穂がしまった、と肩を強ばらせた。 「あ、ごめ…」 「でさ、結局何?」 佐那は嘉穂を遮り、不機嫌そうに本来の目的を聞いた。
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