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遅い、お…私は幼馴染みの山田君をのんびりと校門の近くで待っていた。
好きで待っているわけではなく、家に帰るついでに山田君家で、漫画を読んだりゲームも借りるかと一人私…麻田透は考えていた。
あっ…そう言えば、借りた漫画返していないとふと思い出した。明日返すかぁと空を見上げながらぼんやりと考えていた。
少女漫画より少年漫画や青年漫画の方が私は好きだ。実際、少女漫画コーナーに足を踏入れると何故か照れてしまう。少年漫画だと平然と漁れる。
蛇足だが、中学の時漫研に所属していた。しかも、部長だったりする。
「麻田先輩!!」
思い出に浸っていると、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「…何か?」
はぁはぁ、息を切らしていた。走って私のもとへ来たのだろうかと適当に考えていた。
チラッと私は呼び掛けてきた青年を見る。…はっきり言って、美少年と迄は言えないがそこら辺にいるジャガイモ野郎よりは面構えは良い。
まぁ…一言で言えば、好青年。が、何故私に話し掛ける。非常識にもジーと好青年(名前知らないので)を見ていたら、1学年下だと…さっき先輩って言ってたこと思い出した。
「…透先輩」
反射的に私ははいと返事をしていた。真っ赤に頬を染め、まるで今から告白でもしそうなばかりの雰囲気だ。
行き交う生徒達はガヤガヤとはしゃぎながら下校していく姿を私は見ていた。
「好きです。…透先輩の事が好きです」
…何を言ってるんだい君は。予想的中しちゃったじゃないか!?何でこうなったんだ!?彼奴…悟(山田君)が遅いからわけのわからん奴に告白されるわ…さっさと帰れば良かったと今更だけど後悔した。
「…先輩?」
「…何?」
「麻田。悪い悪い、HR長引いたって…この状況何?」
悟は悪気もなく普通に話し掛けてきた。
「まさか…こくはイタッ…てめぇ」
私は、悟の脛を軽く蹴った。余計なこと話すなと無言のオーラを私は出した。悟は無言で私を睨むが軽く無視をした。
「…先輩?」
躊躇いがちに、好青年は私に話し掛けてきた。
「おっ…俺先帰るわ」
今更、空気読むなよと毒づいた。それに、今帰られても正直私は困る。いや…困っています!!
「ちょっ…待てよ。君とは付き合えない。ごめん」
何と言う…男らしい台詞だなぁと我ながら思った。私は、悟の背中を押しながら好青年を後にした。
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