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悟と比べるのこと事態が可笑しいが、比べる対象がないため悟と比べると、凉也は女性の扱いに長けていると言っても良い。
敢えて言うなら、紳士的。
「ただいま…」
「お帰りなさい、悟」
「お帰り、悟」
「お帰り、兄さん」
リビングに寛いでいる俺等を、苦笑混じりに悟は席につく。
さも当たり前のように、凉也は席を外し悟の為にコーヒーを淹れに行った。
インスタントだから、モノの数分で凉也は戻ってきて、悟にコーヒーを手渡した。
「おっ…ありがとうな、凉也」
「どう致しまして、兄さん」
何か、良いな。兄弟ってと俺は思った。
俺には、兄弟が居ないから悟がたまに羨ましく思う。
「あら…透。どうかしたの?」
「んー…何でも。あっ!?」
さっきあった出来事を思い出した。
急に叫んだせいか、悟がコーヒーをむせた。
涙目で悟は睨むが軽く俺は無視をした。
「告白された」
「「えっ…!?」」
「……」
驚く二人に対して、悟は冷静と言うか何と言うか、もう少し反応見せても良いんじゃねぇのと俺は思ったが、予想以上の反応を凉也が見せたからまぁ…これはこれで面白い。
「透さん、そのっ…その告白してきた人と付き合ったりするの…?」
珍しく歯切れ悪く、凉也言う。
「付き合ったりするとここ、来づらくなるわね。…寂しいわ」
寂しそうに静香さんは2個目のシュークリームを口に運ぶ。
因みに俺は、3個目だ。
「…ズズッ」
甘いものの苦手な悟はコーヒーをすするだけで、言葉すら発しない。
「付き合わないよ」
俺は、平然と言うと安堵の笑みを静香さんと凉也は浮かべる。
「『悪い、君とは付き合えない。ごめん』って台詞吐いてさっさと帰ったもんな、透?」
空になったカップをテーブルに置いた。
「そうなの…透?」
「まぁ…」
「良かった…透さんがもし誰かと付き合ったりしたらと考えたら…」
凉也の目から涙がたまっていた。
「悪い悪い、泣くな。…凉也」
俺は平たい胸を凉也に貸した。
鼻のすする音が聞こえたが気にしなかった。
俺…慕われてたんだと改めて実感した。
それにしても、兄弟ってさっきも思ったけど…良いなぁ。
凉也の泣き顔(涙目)久しぶりに見たなぁと思う。
小学校以来か、それより前か、はっきりと覚えていない。
今、高1で1学年下にあたる。そう言えば、好青年も下だったよな。
「なぁ…凉也?」
「何…透さん?」
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