お早う御座います。

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起承転結どころかロクな名詞も使えない麻友の話に表情筋を固定して首振り人形がくがくやって、日誌にはいつもと変わりませんでした。って記入して顔面崩壊蟹女に渡して長い長いホームルームのあとに、最後のは「さようなら」で本当にさよならしたくなった私の日常。 「っ疲れたぁー」「だね、マジ最悪」大きく仰け反る麻友の開けた口の中の食べカスに、震えがくる位ウザいって思った。不潔、気持ち悪い、いらない、死んでよ。 「水曜はカラオケレディースデーなんだよ、行こっ!」「えー、私歌オンチじゃん………」そんなの誰が行くと思うの木偶の坊「知ってるけどー、いいじゃん行こうよー」 「バイバイ」振り切って逃げた。うぁおぁあああああ無理無理無理無理、もう1ミリも1ミクロンも耐えきれない無理だよ死ねよ殺して殺さないと、あ、ねぇ、「すみますん、駅にお手洗いってありますか?」ハイカイダンヨコデスー「ありがとうございます」 どこどこどこ、あれかあそこか走って飛び込んで、洗面所占領してた頬の肉がだるだるの叔母さんいや豚豚さんがビックリなされてたけど、知らない鍵閉めて個室で息出来ないよ呼吸法で、き、カチカチカチ、「……………はぁ、」 深呼吸する。 吸ってー、吐いてー、もう一度ー。 びーびー頭の中で鳴り響いてた警告音も収まって、膝から悪寒がするっと抜け出して爽快感たっぷり。 いつも携帯している絆創膏を貼って、傷口の外気との接触を阻止する。あの馬鹿が悪いんだ、ぺりぺりと剥がれるゴミを床に落として、便器を閉じて流して鍵を外して出た。 豚はいなくなってて、若干目の光ってる私が錆びたトイレの鏡に映る。そんな不安そうな顔しないでよ、にっこり。ううん、それじゃ笑えてないよ目が冷たいよ。 何度か失敗したけど、普段通りの顔を手に入れてとりあえず私はそこを出て、電車に乗って帰宅した。
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