0-1 プロローグ

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 僕は、積み木公園の小さな屋根のあるベンチに座り、広場とその背景である夕日をぼんやりと眺めていた。  広場は野球ができるくらいに広く、今も子供達がキャッチボールをしているのが少しだけ見える。  ぼんやり、もとい現実逃避をしている理由は二つあるわけだけれど、そのうちの一つはわりとどうでもいいことなので今は気にしない。もしかするとどちらも原因は同じかもしれないけど。  それにしても、だ。  ああ。もうすぐ夏だな。としみじみ僕は思う。春は変な人が増えると聞くが、夏は暑さで頭がやられてしまう人がいるのだ、と。  目の前には僕にそう思わせる原因であり、今現実逃避をしている理由のもう一つである絶壁、世間一般では貧乳と呼ばれるであろう胸の少女が立っていた。 だから、キャッチボールをしている子供達が少ししか見えなかったわけだ。  僕と同じ高校、学年の制服を着ているから何か用事があるのだろうけれど、彼女の事を全く知らない。
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