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――ズキン。
頭がやけに痛む。
だが今日初めて痛むわけではなかった。つい最近。いや、普段は意識していなかっただけで、幼い頃からこういった不思議な頭痛は度々あった。
これは、多分危険を知らせるためのシグナル。
エストの身にふりかかる危険の……
「エスト、大丈夫? 顔色が……」
「マリア、聞いて欲しいんだ」
間髪入れず、マリアの言葉を遮りエストは口を動かした。やけに早口で。
「僕は……君が好きだ」
「! エ、スト」
「困らせる事を言ってごめん。ただ結ばれる事は多分ないから、だから……」
――メザメヨ。
「っ!」
ズクンズクンと痛む頭の痛みと共に響く低い声。段々と鮮明に聞こえてきた。
聞いてはいけない囁き。
エストは直感的に悟ったが、目を閉じ、頭を掴み、耳を抑えるが、その言葉は消えやしなかった。
――メザメヨ。マゾクノチヨ。
「う、あ……」
「エスト! 大丈」
もがき苦しむ姿を見ていられなかったマリアは、エストを抱き締めようと手を差し出した。
その時。
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