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「……る、な」
「え」
「触るなぁぁぁぁぁ!!」
何かが切れる音が、頭に響いた。
――その後は何も覚えていなかった。考えられなかった。頭が真っ白になった。我に返った時には、エストの両手は血塗れ。身体中は血糊でベットリとしていた。そして視界には……
マリアだったと思われる、無惨な死に方をしている遺体が一つ。身体が引き裂かれ、テラテラと光る血と共に飛び出ているマリアの命を繋いでた物。彼女の顔は、血糊で真っ赤に染まっている。
その数分後、エストはそれを偶然発見した村人逹に羽交い締めを食らい、身動きをとれずにいた。
「エスト・アシュレー。我が娘を殺したな」
目の前で仁王立ちするマリアの父親の問いに、エストは無表情のまま、瞬き一つしなかった。エストのピンクゴールドの瞳は、運ばれていく無惨な姿となったマリア追っていた。
「やはり貴様は悪魔の子だ。いや……違うな」
涙で滲み怒りに満ちた瞳で、睨み付け……そして。
「貴様は、悪魔そのものだ」
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