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「助けられなかったんだ……俺は……」
グローは明かりが付いてる天井を仰ぎ見る。琥珀色の瞳は、うっすらと滲んでいた。
「その時には、何故か記憶も、力も失っていた……ただの子供だったんだ……非力な、ただの」
「もういいよ! グロー」
今にも泣き出してしまいそうなグローに、リーザはたまらなく制止する。
グローは、セツナ達の殺戮を止められなかった事に自責の念に駆られているようだ。長い付き合いのリーザやナイラ、そしてシェイドには、その気持ちが痛いほど伝わっていた。
「グローの、っく、せいじゃないじゃ、ん……」
ナイラは小さく泣きじゃくりながらも、グローを責めなかった。
責め立てた所で何も変わらないというのは、理解していたから。
「俺、は……」
「怒りの矛先はセツナ達に向ければいい」
突如口を挟んできたのは、ベイオウルフだった。
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