一話「決意」

12/26
前へ
/154ページ
次へ
「何度問われても答えは同じです。……僕は強くなりたい、ただ今はそれだけです」  強く、迷いのない澄んだ水色の瞳で、ベイオウルフを直視する。  彼の確固たる意志の現れに、ベイオウルフはこれ以上聞くのは野暮かと思い、口角を小さく上げ含み笑いをする。 「……わかった。これ以上は聞かない」  そう口にし、ベイオウルフは重い腰を上げる。そして、踵を返して扉へと向かって取っ手に手を伸ばした。 「え……何処に行くんですか?」 「今日はもう話し合いは終わりだ。だから俺は何処かで休む。また明日来る。じゃあな」  そうベイオウルフは言い残し、シェイドが口を挟む隙もないほどに素早く孤児院から出ていき、扉が静かに閉まる。 「……はやいでし」 「せっかく夕飯を出そうと思ったのに」  そうリーザはため息混じりに呟く。先程から黙ったままのエリアもいきなり席を立つ。
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加