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「何度問われても答えは同じです。……僕は強くなりたい、ただ今はそれだけです」
強く、迷いのない澄んだ水色の瞳で、ベイオウルフを直視する。
彼の確固たる意志の現れに、ベイオウルフはこれ以上聞くのは野暮かと思い、口角を小さく上げ含み笑いをする。
「……わかった。これ以上は聞かない」
そう口にし、ベイオウルフは重い腰を上げる。そして、踵を返して扉へと向かって取っ手に手を伸ばした。
「え……何処に行くんですか?」
「今日はもう話し合いは終わりだ。だから俺は何処かで休む。また明日来る。じゃあな」
そうベイオウルフは言い残し、シェイドが口を挟む隙もないほどに素早く孤児院から出ていき、扉が静かに閉まる。
「……はやいでし」
「せっかく夕飯を出そうと思ったのに」
そうリーザはため息混じりに呟く。先程から黙ったままのエリアもいきなり席を立つ。
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