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青色に赤色が少しずつ混じりあい、ほのかな紫色を生んでいる空。
遠くを覗き見れば、太陽が既に山や林に埋もれるように落ちている。
また今日も夜が訪れる。
――サズエル大陸の最北端に位置するルクス村の、一際大きなログハウス調の建物、【サージェ孤児院】。
ここに、先ほどまで命の危機に瀕していた者達が集まっていた。
「……久しぶりに帰ってきたね」
赤いバンダナを揺らしながら、シェイドは居間に置かれたテーブルに手をつく。我が家へ帰ってきたという実感を口に出しているようだ。
「そうだな。本当にひさびさだぜ」
明るい茶色の髪を掻きながら、キョロキョロと見回すグロー。はにかんだ笑顔をうかべ、安堵のため息を溢していた。
「なーにが「本当にひさびさだぜ」よ。呑気な事言って!」
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