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「お前の父親は……ルシファエルだ。これは嘘偽りはない」
シェイドは、あっけらかんと囁くベイオウルフの言葉に、「やっぱり」と小さく呟いて空を仰いだ。
「前々から……そんな気はしてたんです」
突如シェイドは腰のベルトを緩め、少し草臥れた白いTシャツを脱ぎ、上半身を露出させる。
「……僕、クリマを助けに飛空船に乗った時、魔属に殺されかけたんです。心臓に近い部分を刺され、意識が遠退きました」
そう言いながら、シェイドは刺されたであろう左胸元を自らの手で触れる。クリマの魔法によって、傷一つ残っていない。
「その時、遠退く意識の中で、ある「声」と会いました」
「? 声だと?」
「途切れ途切れで何を言ってるのかわからなかったし、白い靄がかかっていて姿も見えなかったんです……だけど」
シェイドは脱ぎ捨てたTシャツを再度着直して、ベイオウルフに目線をうつす。
「ルシファエルさんの声を聞いて、ピンときました。あの時の声は……ルシファエルさんだったんだって」
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