三話「暫しの別れ」

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 足を止め、グローは目を伏せるように顔を地面へと向ける。 「お前とだから……」 「ん? 何か言った?」  立ち止まっていたグローに目線を移すように後方を向く。クリマの無垢な笑顔に、一瞬恥ずかしくなったグローは、ほんのり頬を赤く染めて、頭を横に振る。 「いや……何でもねぇ。それよりまずは何処に向かうつもりだ?」 「フレズベルグに行くから、えっと……」 「この先を南東に進んだ場所にある【ロサ】の街へ行くのが一番早いわね」  いきなり話に割り込んで来たのは、ピンクのリボンを翻しながらやってきたエリアであった。  明らかにムッとした表情をしながらグローは、小さく畳まれた地図をポケットから取り出す。  すると確かに、遥か南東の位置する【ロサ】という港町が存在する。 「確かそこから王都行きの飛空船が出てると思うわよん?」
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