三話「暫しの別れ」

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「確かにそこに行く方が先決ね。決まり! 最初の目的地は【ロサ】の街ね」  俄然やる気を見せるクリマの腰に結わかれたマントから、何かがキラリと光り、未だ雫で濡れる芝生に落ちた。 「クリマ、なにかおちたでし」  それにいち早く気づいたソフィアが近寄り、落ちた「物」に手を伸ばし、上空へと持ち上げる。 「なんでしか? これ」  それは宝石と言えなくもない、光に当てるとキラキラと光る水晶のような石がついた小さい首飾りであった。  首飾りを目にしたグローただ一人だけは、驚きの色を隠せないように、口をポカンと開いたままでいた。 「それはナイラの……どうしたんだ? それ」 「……借りてるの」  ソフィアから首飾りを受けとると、クリマをそれを優しく握り締める。グローを見つめ返しながら、ポツリと呟いてみせた。
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