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――数時間前。
ルクス村の道具屋に自らが赴き、出発の身支度を着々と進めていくクリマ。手に持つ皮袋には、食物や消耗品などで溢れていた。
そんなクリマを、建物の影から見つめる一人の少女がいた。太陽のように明るいオレンジ色した髪を風に揺らしている。
「……あの」
「ん? ……あ、ナイラちゃん」
買い物をしているクリマに声をかけたのは、ナイラであったのだ。何処か思い詰めた表情で話しかけてきたので、クリマは心配そうな色を浮かべる。
「どうしたの? 私に何か用?」
「……」
クリマの問いに依然として口を開かないナイラ。尚更心配になったクリマは少し屈み、ナイラの顔を覗き込む。
「ナイラちゃん?」
「“ちゃん”はやめてよ」
クリマの呼び方に苛立ちを覚えたのか、強い言い方で促す。クリマは何も言えなくなり、困ったような表情をしながらナイラを見つめる。
「もう……行っちゃうの?」
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