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思ってもみない台詞がナイラの口から飛び出してきたので、クリマは一瞬耳を疑った。
「うん。あまり長くは居られないから……」
クリマの使命。それは魔属と、魔属を仕切るセツナを殲滅する事。長く同じ場所に留まっていては、被害を拡大させるだけだった。
「なら……これ」
すると突如ナイラはショートパンツのポケットから、小さい何かをクリマへと差し出してきた。それは小さく透明な水晶が付いた首飾りであった。
「わぁ。綺麗ね。太陽に翳すと凄くキラキラしてる」
「ん」
「……え? くれるの?」
鎖部分をギュッと握っていたナイラの手はクリマへと向けられ、首飾りを彼女の手のひらにそっと置く。
「あ、あげるわけじゃない! 貸すだけだよ。だって……それはお母さんがくれた首飾りだから」
「!」
謂わば形見。そんな大切な物を何故クリマに手渡したのか。クリマは首を傾げながら、ナイラに目線を戻す。
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