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「……ごめんなさい」
今にも消えてしまいそうな声で、ナイラは小さく震えながら、謝っていた。クリマはそんな彼女の様子を目の当たりにし、心配そうにただただ見つめていた。
暫しの沈黙。それを裂いたのは、ナイラであった。クリマの耳に届くか届かない程の声で囁く。
「ちゃんと、戻ってきて」
「……うん。皆をちゃんと」
「っ違う! 私は貴女に言ったの! シェイドやグローは約束守ってくれるのはわかってる! だけど……」
「?」
またしても口ごもるナイラに、クリマは首を小さくかしげていた。
「貴女は、このまま帰ってこない気がして……」
小さく呟いたナイラの言葉にクリマの鼓動は大きく跳ねる。
「……帰ってくる確証はないよ。だけど生きて帰れる努力はするつもりだから」
「たくさん、クリマの事を知りたいから……絶対絶対クリマも帰ってきて!」
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