三話「暫しの別れ」

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 そしてロサがある南西は、海沿いの街道を渡る必要がある。途中には二ヶ所町があると地図には示されていた。まずは一番近くの町を目指す事に。 「とにかく歩くか」  こうしていても始まらない。先手切って歩いているシャンテの方に目線を移し、グロー達は少し早歩きで進み出す。  ――海沿いの街道に出ると、五人の髪を少し湿気を含んだ風が勢いよく撫でた。海が近いからか、風を受けた肌が少しベタつく。 「あっー! うみでしよ! うみ! はいりたいでしなー」  見渡す限り海、海、海。それを目の当たりにしたソフィアは目をキラキラとさせながら足を止める。 「あら? ソフィアちゃんはロボットでしょ? 海に入ったら感電しちゃうんじゃない?」 「馬鹿をぬかせ。ソフィアをそこらのポンコツと一緒にするでない」  シャンテのプライドに触れたのか、冷たい目線のまま口を動かした。
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