SIGNALⅡ～生死の廻間のbellum～

三話「暫しの別れ」

「ソフィア、別名『フィロソフィア』の皮膚は伸縮性、耐久性共に優れた生体金属皮膜を使用しているんだ。水など恐るるにたらん」

　意気揚々と語るシャンテの気迫にエリアは愛想笑いをしながら「はいはい」と聞き流している。

「グローしってるでしか？　うみは、しょっぱいんでしよ」

「知ってるっつうの！　馬鹿にするなよ！」

　かたや海の方面では、ソフィアがふんぞり返りながら、海の事をグローに教えている。何とも微笑ましい光景が繰り広げられている。

　クリマはそんな状況を蚊帳の外で見守っていた。

　――ピリッ。

「……っ！」

　刹那、空気がガラリと変わった。クリマは瞬時に気付き、辺りを素早く見回す。
　だが何も変わりはなかった。だが。感じ取った気をクリマが間違える筈はなかった。

(間違いない。魔属の気。しかもこれは……)

　背筋がぞくりとする、この不快感。そして木々や草花が空気に震え、怯えているように揺れている。