三話「暫しの別れ」

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 数分歩いてきた所で、一行は最初の目的地の村に到着した。  地図を見るからに村の名前がないようだ。村を見回してみるが、何処か寂れていて人が住んでるようには見えなかった。が、  五人の目の前の木製で出来た建物の扉が開かれた。 「……おぉ、来客とは珍しい。旅の者かね?」  建物から出てきたのは、口元を白い髭でもっさりとしており、長く伸ばした見事な白髪を後ろで結っているご老体であった。草臥れた若草色のローブを着込んでいる。  クリマは軽く会釈をし、そっぽを向いて村の入り口へ逆戻りするように歩いていってしまった。 「ク、クリマ?」  グローの静止を、クリマは人差し指を口元に動かし「シッ」という行動で返す。そして入り口付近で止まりしゃがみこむ。
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