三話「暫しの別れ」

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 クリマを除く四人のうち、一歩踏み出したのは…… 「クリマちゃん、このバリアってそのまますり抜けられるの?」  紫色の髪を美しく乱すエリアであった。クリマは少し困惑する。障壁を部分的に開く事は出来ないからだ。一回解除をしなくてはいけない。 「……魔法を消さないと無理」 「じゃあ消して?」  いつもの無邪気な笑顔がクリマに向けられた。一瞬目を見開き、そして即座にキッとエリアを睨み付ける。 「出来るわけないでしょ! ここには少なからず人がいるのに!」 「こちらに被害は与えないようにするから」  皆の間に一瞬の沈黙が走った。「え?」と言わんばかりの拍子抜けしたような表情で。 「どういう、意味?」 「どういう意味も何も、私があの男の子やっつけてくるって事よ?」  あっけらかんとした口調でエリアはクリマに返す。その間にもエリアは障壁に手を伸ばす。
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