三話「暫しの別れ」

24/24
前へ
/154ページ
次へ
(やっぱり速い)  瞬発力のみならクリマをも凌ぐ程のエリア。その彼女は相も変わらずな無邪気そうな、それでいて油断ならない笑顔でシュウを見据えていた。 「へぇ……意外と速く動くんだね」 「ふふ。私と遊びましょうよ」  まるでこれから楽しい遊びをし始めるかのように、嬉しそうな表情をエリアは浮かべていた。それを遠くから傍観していた先ほどの老人が驚愕の表情をしていた。そして段々と怒りの色に染まり、わなわなと震えだしていた。 「おじいさん?」  異変にすぐ気づいたクリマは槍を携えたまま、老人に顔を向ける。 「あやつ、まだ……生きておったのか」 「え?」  震える指をゆっくりゆっくりと上げ、指を差した先には、エリアがいた。 「エリア、さん?」 「エリア、と今は名乗っているのか……あやつは、あやつは」  一頻り怒りを露にした後に、老人は口を開く。 「悪魔の子……エスト・アシュレーめ」
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加