四話「悪魔の子」

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「悪魔の子だっ!」  ――今から数十年前。サズエル大陸と隣接している【ウェンエル大陸】での事。  ウェンエル大陸はサズエル大陸と違い、いつも風が吹いている大陸。暑い季節は過ごしやすい気候だが、寒い季節は逆であった。  その大陸にある小さい村【ノウム】。集落と言ってもいい、規模が小さい村だった。 「エストだ……っ! 悪魔の子がきたぞ!」  一人の少年が、小石を何かに容赦なく投げつけながら焦って走り去っていく。小石は薄い紫色の髪を持つ幼い少年の頭に直撃。 「……」  幼い少年は小石が当たり赤く腫れた額あたりを片手で擦る。だが無表情で、痛みを感じていないようにも伺えた。  この少年はエスト・アシュレー。人間を滅ぼそうとしている世界の敵、魔属と、魔属を怖がっている筈の人間との間に生まれた混血人である。
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