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「貴方を触ると何か病気にでもなるのかしら?」
何処か畏まった印象を受ける話し方で、マリアはエストに詰め寄る。エストは更に怖じ気つき、とうとう俯いてしまった。
「ほら、何もないじゃない。だから私はエストに近寄るわ」
そう言って無邪気な年相応の子供らしい笑顔で、エストに一歩、また一歩と近付いていった。
「……変だね。君」
「変? どうして?」
「だって、親に言われてるでしょ? 僕に近づいちゃダメだって」
「あぁ。でも無視してる」
「……どうして?」
マリアの行動がいまいち理解出来ないエストは、顔を俯かせたままマリアに問う。小さく唇が震えているのが、自分にもわかった。だが、聞かなくては自分の気持ちが納得してくれなかったから。
「どうしてって」
一頻り沈黙が走った後、マリアはあっけらかんとした表情で、
「貴方は今まで誰かを傷付けた事がある?」
「!」
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