1章 指揮官セツアと盗賊ヴィア

3/12
前へ
/38ページ
次へ
その施設の一角で活気のある声があふれている。 「尋常に勝負!」 「負けないからな!」 訓練場には多くの兵士がいる。 皆若者が多く、物々しい雰囲気はない。 その中心で二人の青年が練習用の剣を構えている。 「勝ったほうが晩飯大盛りだからな!」 「ったく…みんな大盛りにしてくれたらこんな勝負しなくて済むんだけど!」 「それは俺の管轄じゃねえし、言っても絶対取り合わねえって。」 食堂の飯の量にケチをつけられて困惑している青年の名はセツア。 肩まである銀髪と青い八鉢を額に結び、黒いジャケットと比較的ラフな格好だがこれが普通。 そしてケチをつけたほうはオルガ。『R』の剣部隊副隊長だ。 周りからめーし、めーしとヤジが飛び始めた。 「いや、それは指揮官権限で取り合ってもらうぜ…っと!」 オルガが素早くセツアに斬りかかる。 「だーかーらー!それ直訴したらここにいる全員丸焦げだって!」 セツアは剣激をかわし、カウンターで突きを食らわすが紙一重でオルガは避ける。 その避けた軸足でセツアのわきに入り込み、強烈な体当たり。 「うわっ!」 「もらった!」 セツアがよろめいたところを、オルガが追撃する。 大振りに降った剣がセツアのほほをかすめた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加