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一
「あーもう!ここにいたのぉ??
すっごい探したんだから!!!!」
「ふわぁあ!!
び、びっくりしたぁ…!」
それなりに位の高い貴族なんだろう。
普通では考えられない高貴な服を身に纏った一人の少女が、少女とは対照的に装飾は全くなく、みすぼらしい服の少年に駆け寄る。
「まったく。書庫にいないから驚いたわ」
年の頃はまだ五、六歳だろうか。
話し方こそ子供らしく拙いが、どこか凛々しさを感じさせる口調の少女。
「ご、ごめん…」
そんな少女を見て、困ったような表情をする少年は少女とは違い、弱気な性格の様で目をキョロキョロとさせている。
少年は少女よりは年は上だろう。
しかし、七、八歳位で大した差はなさそうだった。
「ふんっ、ま、いーわ」
そう言うなり、少女は青色のチョーカーを取り出し少年に渡した。
「こ、れは…?」
「今日は私達が初めて会った日だから、お祝いを兼ねてのプレゼント!」
少年の驚いた様子とは対照的に明るく、無邪気な笑顔。
まるで、何もこの世の不幸を知らないような笑顔。
そんな笑顔を、少年はチョーカーと交互に何度も見続けていた。
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