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「意味わかんねーよ……」
彼が今、発した言葉はどうやら彼女に伝わったようだった。
「やっぱり声が聞こえた……、つまりこれは幻聴じゃないのかなぁ? それに声が繰夜っぽかったし……」
彼女は一時思考した後、まるで名案を思いついたと言わんばかりの表情になると。重力を無視するようにふわふわと浮かびながら彼の近くへ近づいてゆく。
「くぅぅぅうーるぅぅぅうーやぁぁぁぁぁあ!」
「う、うるせえぇぇぇぇえ!」
歩未が考えついた名案、それは耳元で叫ぶと云う迷惑行為に近い迷案だった。
しかし、彼の発した抗議の声はしっかり彼女に伝わったようだった。
「やっぱり繰夜じゃん! 何で私の声が聞こえるの? 何で私は繰夜の声が聞こえるの? つまり繰夜も死んじゃったの? でも、そしたら私はこの世界にいれないし……」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。言ってることが全くわからないし、てか何で俺の目の前にいるんだよ」
全く理解出来ない繰夜は、質問に答えるどころか質問に質問を返すしかなかった。
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