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「あなたは私、私はあなたです。共にあるべき者が相手を気遣うのは当然のこと。共にあるのがそもそもの定め。今まで離れ離れになってあなたが寂しい思いをしていたのがおかしいのです」
「よく分からないな」
「分からなくても構いません」
蛇はちろちろと舌を出し、玄武の額を軽く舐めました。
「私とあなたが一緒にいる。ただそれだけ。それ以上の理由はいらないのです」
「…そんなものか」
「そんなものです」
ふうん、と玄武は言って、また目を閉じました。やはりよく分からないけれども、まあいい。
「一緒…か」
“悪くない”
蛇も黙って目を閉じました。
「ええ、一緒です」
玄武はもう、少しも寂しくありませんでした。
それからずっと、玄武と蛇は一緒に過ごし、いつしか二人で《玄武》と言われるようになったということです。
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