西方の娯楽

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「まだ君の弟君は作戦練りをしているのか?」 カツン。 「そうですパオ」 カツン。 「ん…そうきたか。彼ももう少し」 カツン。 「遊び方を覚えた方がいいな」 「パ、パオ…」 さらり、と二人の後ろに掛けられていた布が持ち上げられた。 「何をしているんです?」 布の下から覗いた整った顔立ちの青年が聞く。 「何って、見たとおりチェス」 「…パオ」 右側に座る男が椅子に肘をついたまま笑って答え、左側に座る少年が少し不機嫌そうに頬を膨らませた。間にはチェス盤の乗ったテーブル。一瞬見ただけで、青年には少年が負けかけていることが分かった。 「また負けているのかガネーシャ…」 「ま、まだ負けてないパオ!ただピンチなんだパオ!」 「負け方向には変わらないだろ」 なんだと~、と言ってガネーシャと呼ばれた少年は磐の方に向き直り、むむむと言いながら考え始めた。 彼は青年――スカンダの兄だ。見た目はまったくもって少年であり、兄弟といっても彼の方が下に見えるが、紛れもなく兄なのだ。何故ガネーシャは少年のままなのかは分からない。母パールヴァティは「スカンダが大きくなっちゃっただけよ」と言っていたが本当にそうなのだろうか。
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