西方の娯楽

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「ヴィシュヌ様もいつにも増して容赦ないですね」 「手加減無しでと言われたら手加減無しでやるだろう?」 「…そうですね」 肘をついたまま答える男は三大神の一人、ヴィシュヌ。維持神でもある彼は、様子見と称して時折訪ねてくる。 様子などはスカンダ達の父神シヴァに聞けばいいのにも関わらず訪ねてくるのは、やはり話やチェスなど目当てだ。チェスは少し前に西方の神から教えてもらってから、彼らの一種の娯楽になっていた。 「まだ次の手は決まらないか?」 「パオン…」 どうやら難しいらしい。ガネーシャはちらりと上目遣いにスカンダを見た。 「スカンダ~。助けてパオン」 「…分かった。いいですか?」 ヴィシュヌが頷く。 “完全なる負け戦。しかしこの駒ならば” 「…そうですね。こうしたら」 カツン。 「ん、そこか?なら私は」 カツン。 “さすがヴィシュヌ様。分かっておられる” カツン。 カツン。 カツン。 カツン…… カツン。 「ん」 何手かすると、ヴィシュヌが眉間にしわを寄せた。 カツン。 「どうしました」 カツン。 「いや」 カツン。 ガネーシャが目を輝かせて盤を見ている。面白くて仕方ないらしい。 カツン。 「む…」 ヴィシュヌの手が止まった。
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