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『吾輩にとっては問題だ』
ぐい、と首を伸ばしたかと思うと、ホルスを覆い尽くさんとばかりに炎神が近づいていた。金の瞳が、怒りに輝きを増す。
『御主は考えたのかね。ここでただ待つ吾輩の心中を。考えたのかね、吾輩が感じた屈辱を!…早く、吾輩はそれを上回るもので埋め合わせをしたいのだ。そして空回りはもう決して起こしたくないのだ。御主は何も分かってはいない。吾輩はここでずっと待っていた。吾輩は…』
「ならばお前も考えたのか!」
ぴた、とイフリートの動きが止まった。ホルスの手は震え、目は光っていた。
「そこまで言うのならお前は考えたのか、私がここにどんな思いで来たか、どんな決心で来たか!仇討ちなどとよく軽く言ったものだ。お前は失敗を恐れている。お前こそ何も分かってはいない。分かろうとしていない!」
『御主…!』
「愚問は聞かん!私はお前の力を欲している、お前はただ私に従えば良いのだ!」
ゴォォウ!!
灯りの炎が燃え上がり、石像を赤く照らす。
『愚問か…』
程なくイフリートはふきだした。
『私に頼むではなく、指図するか。面白い』
「私は真面目に言っている」
『フッフッフ。気に入った。気が変わったぞ。御主は、いや、御主が、面白い。興味深い』
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