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「私が?」
イフリートは顔を天井に向け、口が裂けるかと思うほど笑う。
『フフフ、ハッハハ。吾輩に指図するのは御主が初めてなのだよ。皆一人だと吾輩を崇め奉る。力の差を感じるのだろう。だが御主は身の程を全く考えず吾輩に向かってくる。これほど面白いものがあるか、いや、ないな』
「…力を貸してくれるのか」
寸の間考え、炎神は鼻を鳴らした。
『構わんだろう。肩慣らしには丁度良い』
ホルスもまた微かに笑った。結局こうか。仇討ちが肩慣らしだと。
“死をも恐れぬ猛る神…。確かに”
イフリートは頭を垂れた。
『御主の剣となってみせよう』
洞窟の灯りがまた燃え上がり、炎神の体が照らされ――
元の紅蓮の姿がそこにあった。
「では、行くぞ」
『うむ』
何が為に?
復讐の為。
何が故に?
怒りの為。
蘭青の炎は紅蓮の炎と共に、黒き雷鳴へと突き進む――
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