春日家の朝

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 大きな、手。  ゴツゴツしていて温かなその手は、俺の身体を優しく、しっかりと包み込む。  涙でぐしょぐしょになった顔をあげると、柔らかな髪を額に落とし、目尻を下げて優しく微笑む顔があった。  唇が、微かに動く。  低いがとても心地好い声。  それは優しく、耳に響く。  俺は目をつぶり、そして温かで大きなその手に、身体を預けた。 (こうちゃん……)  そこで、目が醒めた。
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