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(なんだか懐かしくなるような夢だったな)
瞬きを数回繰り返し、ふぁぁと大きなあくびをひとつしてからのっそりとベッドを降りる。
壁にかかった鏡に目を向けると、寝ぼけた顔の自分と目があった。
寝癖であちこち跳ねている髪を軽く撫でつけ、むくんだほっぺたを軽く引き延ばし、なんとか眠気を追い払う。
まだ眠い目をこすりながらパジャマ姿のまま階段を降り、リビングに続くドアを開けると、チーズとトーストの香りがふわりと広がった。
とたんにグウゥ、とお腹がなる。
「お、起きたかナオ」
読んでいた新聞から目を離し、顔をあげて振り向いたのは、
春日孝一郎。
俺の父親。
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