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「そして再び意識が戻った時には、この部屋にいました。…………そこからは近藤さんもご覧になった通りです。」
「…………そうか。俄には信じられない話ではあるな。」
そりゃそうだ。こっちだってすぐに信じて貰えるなんて思ってない。
自分でさえ、まだ半信半疑なんだから。
けど、諦めない。まだ手札はある。
「信じて頂けないのも無理ありません。証拠をお見せしたいのですが、私の荷物はありますか?」
「あぁ、是非見せて貰いたい。お~い山崎君。歳に頼まれて見張っているんだろ?ちょっと出てきてくれ。」
私の申し出に二つ返事で了承してくれた近藤さんは、何故か天井に向かって話しかけた。
するとどこからともなく、全身黒尽くめの男の人が現れた。ほぼ全身布に覆われ、出ているのは両手と目元のみという格好……まるで漫画に出てくる忍者のような男性。
新たな人物の登場に、私はまた呆然としてしまった。
「山崎君、そういうことだから深山君の荷物を持ってきてくれるかい?ついでに歳たち幹部も集めてきてくれ。」
「はっ。かしこまりました局長。」
そして山崎と呼ばれた黒尽くめの男性は、私を一瞥すると、音もなく姿を消した。
そのとき、私の中で何かが引っかかった。
……なんだろ…?今の人…………………山崎さん…ね。
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