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「ああ~ほらほら無理しないで横になってなさい。」 痛がる私を優しく寝かせてくれたのは、一番最初に部屋に来たゴツい人だった。 「す…すみません。」 「いやいや構わないさ。落ち着いてきたようだから君の話を聞かせて貰えるかい?」 ゴツい人は優しげな笑みを浮かべながら私に問いかける。 私の話って……何を話せばいいの?今の状況すら把握できてないのに。 悩んだ挙げ句に出てきた言葉は、 「……今年って何年でしたっけ?そしてここはどこですか?」 だった。 質問に質問で返すなんて失礼だとは分かっているが、聞かずにはいられなかった。 もし、今自分の考えていることが当たっていたらとんでもないことになる。 有り得ないって思っても、否定しきれない自分がいるのは今目にしている人々が、平成では有り得ない格好をしているから。 目の前のその人は、一瞬きょとんとしたがすぐに柔らかい笑顔で答えてくれた。 「今年は文久三年(1863年)。ここは壬生にある新撰組の屯所だよ。」
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