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……正直言って有り難い話だ。土方歳三には悪いけど、平成から来た私には確かに身寄りもないし住む家もお金もない。 しばらくの間だけでもおいてもらえたら……せめてこの怪我が治るまでだけでもおいてもらえたらどんなに嬉しいことだろうか。 ……けど、近藤さんは2つ勘違いをしている。私は"幼い"でも"少年"でもない。 18歳って言ったら確か、江戸時代ではもう立派な成人だったはず。そして私の記憶が正しければ……新撰組は女人禁制。男性しか入れない。 「深山君。君はどうしたい?」 近藤さんが優しく問い掛ける。 どうする?このまま本当のことを言えば、追い出されるかもしれない。 嘘を突き通せば、とりあえず生活できる。 私の答えは………… 「ここに居させて下さい。」 私はまた深く頭を下げた。
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