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「行くけど、着替えたいからもう帰るよ。何時集合?」
卒業式の余韻に浸りながらも、すでにこの雰囲気に飽きてきた私は瑞希にそう言った。
すると、ちょっと離れた場所にいた瑞希が慌てて私のところにやってくる。
「みゃーが帰るなら俺も帰る。集合は19時らしいよ。」
「え?でも瑞希、呼び出し…」
「いいからっ!!ほらっ早く!黙って歩く!!じゃ~みんな後でね。バイバーイ。」
「え!?ちょっ瑞希押すなって!」
何がなんだか分からないまま、私は瑞希に背中を押されて学校を後にした。
仕方ないのでそのまま二人で帰宅する。
瑞希の家と私の家は、徒歩2分で着くくらい近くにある。
瑞希は元々、関西の方に住んでいたらしいけど高校入学と同時に東京に引っ越してきた。
「こうやって瑞希と下校するのも最後なんだね~。寂しいような…嬉しいような。」
「いやいや嬉しいってなんだよ!?みゃーの癖に生意気だぞ!!」
「みゃーの癖にってなんだよ!!しかもみゃーじゃなくて深山だっつの!!三年間言い続けてんのに直さないとか嫌がらせか!!」
「貴様なんぞみゃーで充分じゃボケっ!!」
こうやって喧嘩しながら帰宅するのも最後。
やっぱり寂しい。
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