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「かぐや、かぐや。ここで寝てたら風邪ひくよ」
「ん、あ、茜ちゃん」
いつの間にか寝ていたようだ。時計の針は7時半を越えていたところだった。
起きたばかりで寝ぼけた脳を無理矢理フルスロットルさせ覚醒する。
すぐさま寝る前の出来事を思い出して茜ちゃんに抱き付いた。
「わっ、どうしたの!? ちょっと、部活の後だから汗臭いよ」
「ううう。茜ちゃん~」
恐怖が再び頭の中にリンクする。
大した恐怖ではない物も時間をかける事で記憶は美化と劣化を繰り返し全く違う記憶になりえる。
恐怖が増幅された記憶が頭の中を支配し更なる恐怖を体験する。
「かぐや、泣いてちゃ分かんないよ」
「ううう。えっとねぇ」
いつも以上に舌が回らず説明しようとしても頭がごちゃごちゃしていて上手く伝える事が難しかった。
茜ちゃんは最後までしっかりと聞いてくれたが終始困った顔をしていて半信半疑という感じだった。
それもそうだ。私も信じられない事が起こったのだから。実際に体験しないと分からないし信じる事もできないものだ。
「これがその時にきた手紙ね」
「うん」
「・・・ねぇ、かぐや。これ、捨てちゃおうよ。不気味だしさ。嫌でしょこんなの持っていても」
「うん、そうだね」
茜ちゃんは手紙をくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に投げ捨てた。
「さて、夕食どうする? 食堂に行くかそれとも作るか。どっちがいい?」
少し悩む。正直、茜ちゃんがいればどちらでもいい。しかし聞かれている質問にどちらでもいいと答えるのも失礼だ。
食堂は今の時間人が沢山いるだろうしそっちの方が安心できると思った。
「食堂がいいかな」
「よし、オーケー。ちょい待ってて、シャワー軽く浴びてくるから」
いつもの笑顔で私の頭を撫でてバスルームに行った。それでかなり安心もできた。
でも、不安は残る。早くこの嫌な気持ちが消えてほしい。
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