プロローグ

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 お昼御飯も食べ終えて残りの時間は二人で他愛のない会話で昼休みを過ごした。  授業が始まるけれど昼食後の授業は眠たくなるものだ。休んだ後に集中はしづらくてしかも次の授業は現代文だ。先生の音読が心地の良い子守唄に聞こえてしまい私を夢の世界へと誘おうとする。  それに私は抵抗することもなく自ら進もうとするが先生と目が合い教科書の長く綴られた文字列を読まされるということで現実へと引き戻されられた。  そのおかげで目が覚めたわけだけれど隣の隣の席の茜ちゃんは上手く肘をついて片手にシャーペンを持って寝ている。  なんと器用なことをしているのだろう。あの角度は先生から目を閉じているのも見えず勉強していますよ、という雰囲気を出している。流石だよ茜ちゃん。  私も実践しようとしたことがあったが無理だった。シャーペンは床に落ちて支えていた手から頬が滑り机に顔をダイブさせてしまった。  あの時は皆の視線が私に集まりとても恥ずかしかったのでもう二度とやらないと胸の奥に秘めたのだった。  そんな授業も終了のチャイムで強制的に終わりを告げる。すぐにホームルームのため担任の先生がやって来て10分程明日の予定を話して終わらした。 「かぐや、今日部活遅くなるかもしれないから夕食は先に食堂に行ってていいよ。今日はかぐやは部活ないでしょ」 「うん、わかった」  茜ちゃんを見送って寮へと続く通路に向かった。  私は茶道部で一週間に三日しかない楽な部活だ。お菓子も食べられて美味しいお茶も飲めると満足の部活なのです。 作法の時は苦いお茶を飲むのだけれどお菓子タイムの時は紅茶や抹茶を飲んで先輩や後輩と楽しむのですよ。  廊下にある窓から外を見ると既に部活動が始まっていた。  私はスポーツが大好きなんだけど運動能力が大好きと真逆の位置に仁王立ちして動いてくれない事が原因で苦手なのだ。 大好きなのに苦手というこのもどかしさがたまらなく嫌だ。それに比べて茜ちゃんは大好きなスポーツが得意で羨ましいと思う時がある。  私は窓から目を反らして長い廊下を歩きだす。
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