プロローグ

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 なにもないところで足と足が交差し引っ掛かりソファにダイブした。その際ちょうどリモコンが顔面に直撃するという不幸も重なった。 「・・・痛いよぉ。もう嫌だぁ」  リモコンを手に取りテレビをつけてソファの下にリモコンを置いた。ここに置いておけばリモコンによる二次災害は起こらないだろう。  テレビに映る画面には私自身に全く関係ないグルメレポーターによる日本全国珍味を食い尽くすというお腹の音を大きくするような番組だった。  手紙は握ってしまいくしゃくしゃになっていたけど中身が破れていなければ大丈夫だろう。手が震えていて綺麗に手紙を剥がすことができずビリビリになってしまった。 「・・・・・・・・」  しかし中身は無事だった。  手紙を見てみると文字は綺麗で流れるように書かれていたが読んでみるとその内容は決して美しくはなかった。 「私は何か悪い事でもしたのかなぁ? こんな手紙を貰う身に覚えが一切ないのに」  おめでとうございます。  結城赫映(ゆうき かぐや)様は参加者に選ばれました。  これを拒否する権利はあなたにあるはずありません。そもそもあなたには権利自体存在しません。  ルールをよく耳の穴をかっぽじって眼球が乾燥するまで読んで聞いてその未熟な脳ミソに叩きこんでください。  では、楽しい殺し合いを頑張って生き残ってください。  陰ながら応援してます。  文頭がいきなりこんなのだった。全然意味が分からないよ。  恐い悪戯だよ。おめでとうございます、ってこれは良い事なのだろうか? 参加者に選ばれることが拒否できなくて私には権利自体存在しないってどういうことなの?  えっとね、たしか人には人権っていう個人を尊ぶような権利が存在していてね、って今はどうでもいいやそんなこと。  続きを読み進めていく。  それは文頭のおめでとうございますよりも難解な文字列の集合体だった。
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