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僕の前には壁がある…
黒く冷たく重たい壁が……
立ち止まっていると………
『小さな頃の僕』が現れる……
『小さな頃の僕』は言う…
どうして、ここで止まっているの?
言われて気付く……
進まないんじゃない………
進み方が分からないんだ…………
ここまで来るのに………
何を落としてきた……
何を忘れてきた………
『小さな頃の僕』の顔が見れない………
『小さな頃の僕』は言う………
拾った物はなにがある……
見つけた物は何がある……
覚えた物は何がある………
落としたコトに気付いているなら………
いつか拾いに行けば良い……
忘れたコトに気付いているなら………
いつかきっと思い出せるから…………
それでも一歩が踏み出せない僕は……
ただただ……
壁を見上げ続ける……
『小さな頃の僕』がつぶやく………
僕がいるから、君がいるんだ……
僕かそんなに輝いて見えるなら………
それは君の中に必ずあるんだから………
少し勇気が湧いてくる……
黒く冷たく重たい壁が……
今は少しグラついて見える………
きっと行ける……
向こうの光を想像しながら……
力一杯に壁を押す…………
動かせないと思った壁が………
音を立てて崩れていく………
その向こうには……
想像していた光の他にも光があった……
僕は言う……
ありがとね……
『小さな頃の僕』は………
誇らしげに鼻をこする………
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