2/4
前へ
/4ページ
次へ
僕の前には壁がある… 黒く冷たく重たい壁が…… 立ち止まっていると……… 『小さな頃の僕』が現れる…… 『小さな頃の僕』は言う… どうして、ここで止まっているの? 言われて気付く…… 進まないんじゃない……… 進み方が分からないんだ………… ここまで来るのに……… 何を落としてきた…… 何を忘れてきた……… 『小さな頃の僕』の顔が見れない……… 『小さな頃の僕』は言う……… 拾った物はなにがある…… 見つけた物は何がある…… 覚えた物は何がある……… 落としたコトに気付いているなら……… いつか拾いに行けば良い…… 忘れたコトに気付いているなら……… いつかきっと思い出せるから………… それでも一歩が踏み出せない僕は…… ただただ…… 壁を見上げ続ける…… 『小さな頃の僕』がつぶやく……… 僕がいるから、君がいるんだ…… 僕かそんなに輝いて見えるなら……… それは君の中に必ずあるんだから……… 少し勇気が湧いてくる…… 黒く冷たく重たい壁が…… 今は少しグラついて見える……… きっと行ける…… 向こうの光を想像しながら…… 力一杯に壁を押す………… 動かせないと思った壁が……… 音を立てて崩れていく……… その向こうには…… 想像していた光の他にも光があった…… 僕は言う…… ありがとね…… 『小さな頃の僕』は……… 誇らしげに鼻をこする………
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加