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地獄では、罪を犯した人間の魂に罰を与え、その罪、汚れを清めている。
そして、そこで落とされた汚れを素に、新たなる悪魔が誕生し、人々を悪しき道へと惑わす。人々は、これを恐れ、神仏に救いを求める。これが、永らくの間争い続けた神と悪魔の共存の道である。
その中で、一人の悪魔がいた。
彼は孤独だった。誰からも愛されず、頼られず、恵まれず、信じられず、救われなかった。
故に彼は、人々から寂しがりの悪魔といわれ、忌み嫌われていた。
そんな彼は、ふと思った。友達が欲しいと……。
ちょうどそんな時、度々彼のもとを訪れてくる少女がいた。彼女は人間だった。それも一切の罪を犯さず、穢れを知らないような清らかで美しい少女だ。
そんな娘がなぜ地獄に堕ちてきたのかわからないが、彼にとってはどうでもよかった。度々会いに来てくれて、楽しい話を聞かせてくれる少女が彼は好きだった。
ある日彼女は来なかった。その日は妙に天気が悪く、あまり気持ちのいい日ではなかった。
寂しがりの悪魔は、一人でいるのが嫌いだった。それまではなんてことなかったが、今では彼女がいないだけで哀しかった。彼はその寂しさに耐え兼ね、彼女を探しに出掛けることにした。
家を出て数歩、そこに彼女は倒れていた。
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