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身体が光に包まれる。目を開けていられないほど眩しい。
「そういえば、一応契約だから、代償を払ってもらうぞ」
先ほどの青年が目の前に現れた。
彼の言う契約とは、悪魔や幻獣との契約のことだろう。心臓を交換し、力を与える代わりに、何かしらのものを失う。
「そうだな。お前は無口で面白みがない。そのお前の自制心をもらうとしよう」
自制心を失うということは、どんな状況でも乗りと勢いで切り抜けなければならないということだ。それが自分にできるかどうか分からないが……。
「いいぜ、やってやらぁ!」
既に自制心を失ったらしい。
「これからお前がどんな物騒な奴等に絡まれるか分からん。武器も渡しておこう」
青年はそういうと指を鳴らした。
すると、自分の両腕に鎖が巻き付いており、その先は二振りの大きな剣に繋がっていた。
「この私、アゼルが与えた剣……Blards of AZEL(ブレイズ・オブ・アゼル)と呼ぼうか」
さり気なく名前を教えられた。てっきり幕間の裏設定にでも書かれる運命かと思っていたが、あながちそうでもないらしい。
「で?穢れなき乙女ってのはどこにいるんだ?」
あの純白の少女のためにも、とっとと見つけ出し、心臓を抉り取らなければならない。
「まぁそう焦るなエンキドゥ。この時代にいる穢れなき乙女は、恐らく幼い少女だろう。その辺にいるだろうから、連れてくるといい」
いつの間にか自分の名前まで決められている。
「なんだよエンキドゥって……」
「気にするな。さぁ、とにかく出発だ」
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