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探偵部の部室は、第三棟の西側にある。夕暮れ時には、オレンジ色がすごくきれいに部室に振り込む場所だが、正直眩しいので、シゲはそこが好きではない。 なーんでもっといい場所取れなかったかなぁ? 今日も首を傾げながら、がらりとドアを開く。 「うぃーす。」 「遅い!」 入った瞬間に、メイから罵られる。 いや、遅いと言われましても。しかもなぜ手にチョコレートを持っているきさま。 「日直だったんだよ、しゃーねーだろーが。」 「しゃーなくないわよ!こっちは待ちきれなくて、あんたの分のチョコ、食べちゃったんだから!」 「そうかつまりオレの分のチョコはないって事だな!?」 人が真面目に役目を果たしている間にそんな理不尽な。しかもよりによってロイズの板チョコを!! 「まあまあ。」 おっとりした笑顔でハルナが微笑む。 「また持ってきますから、そう熱くならないでください。」 そう言われて、シゲは言葉にうっとつまる。どうも彼女に対しては、反駁をする気になれない。なんだか、ポワポワしているのだ。 仲村メイ。 堀井ハルナ。 どちらも、蒼名護高校探偵部のメンバーだ。 「それで、転校生はどんな方でしたの?」 言葉に詰まっているすきに、ハルナはシゲに尋ねる。 「あ、やっぱ理系まで伝わってんだ。」 「女の子は、そういう噂は早いですから。」 にこやかな顔で頷くハルナの隣に座ると、僕は頭を抱えるように指を組んで、ぼやいた。 「よー分からんッ!!」
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