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青年憲兵隊の隊員は全員何らかの才能を持っているとはいえ、その才能には程度がある。
中には戦闘に向かない者もいるし、ほとんどの者は経験も少ないのでいきなり任務を任せるのは危険すぎる。
ここでは様々な事情を持つ隊員が多いので、憲兵隊に入る以前に経験を積んでいる者などの例外はいるが、ほとんどはまず任務をこなす前に訓練を積んで鍛える。
そして、簡単な任務からこなしていくのである。
「ああ、その子を教育的指導と言う名目でしばけと……」
「違うッ!!」
「冗談ですよぅ」
叫ぶオノハラに対して、狂子は飄々と笑う。
「……本題に戻ろう」
どうにも、やりづらいと思いながら、オノハラは話を戻す。
「ヤマシタもちょっと手を焼いているんだが、その子だけに構ってやることができないから手伝いが必要らしい。詳しくはヤマシタから聞いてくれ」
「了解しました!」
「中等部……きっと初々しいんだろうなぁ……」
やる気十分な狂子と、うっとりとした顔をする飛鳥に一抹の……否、かなりの不安を抱きながらも、オノハラは2人に任せることにした。
窓から差し込む、春の暖かな日差し。
眠気を誘うような暖かさを感じながら、オノハラは疲れを顔に滲ませていた。
「大丈夫ですか?」
凛とした声が聞こえ、オノハラは我に返る。
士官室の入り口に目をやると、先程までの話に出ていたヤマシタが立っていた。
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