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その数日後、約束の日――。
飛鳥と狂子は2人並んで2階の窓から外を眺めていた。
その様子はとても絵になり、こうして見ると美男美女のカップルに見える。
しかし、当の本人たちは互いに親友だと宣言している。
とはいえ、ある所では狂子がものすごい形相で飛鳥をフルボッコにしていたなどという目撃証言もあり、また、いつも会話がかみ合ってないことも多いことから、周りは2人が本当はどんな関係なのか疑問に思っている。
それでも、2人はそんな周りの様子も含めて楽しそうにしている。
「ねぇねぇ、飛鳥ちゃん」
「何だい、狂子くん」
「その背中の薔薇、むしっていい?」
狂子の笑顔での申し出に、飛鳥の顔が凍りつく。
「それは困るよ。これは僕の美しさを更に……」
「狂子製薬で薔薇使った薬とか香水作ろうかと思っててさー。飛鳥ちゃんが薔薇を提供してくれたら、それを飛鳥ちゃんにあげようと思うのだけど」
飛鳥の発言を敢えて遮る。
これはいつものことである。
飛鳥はそれを気にすることなく、少し考えてから答えた。
「……今度、薔薇を何種類か持ってくるよ」
飛鳥の了承の返事に、狂子は嬉しそうに微笑む。
「ありがと!頑張って作るね」
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