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「それとも、僕に愛の告白を――」
「あれぇ?任務は一昨日終わったばかりですよ。早くないですか?」
飛鳥の言葉を(故意に)遮って発言したのは、飛鳥の横に立っていた白衣の少女、不知火狂子である。
撫子色のウェーブがかった髪、好奇心の強そうな瞳、長いまつげ、豊満なスタイル。
狂子は華やかな容姿と色気を持つ美少女である。
しかし、その実態は、大の悪戯好きの天才科学者。
その知識と技術は分野を問わず、「狂子製薬」という詳細不明の会社(?)を名乗って、日々隊員を不思議な薬で困らせては楽しんでいる。
まさに才能の無駄遣い。
飛鳥に負けず劣らずクセが強い少女、狂子はオノハラを見つめる。
「……新しい任務じゃない。その終わったばかりの任務についての話だ」
そんなクセの強い2人を目の前にして、オノハラはどうしようかと必死に考えていた。
一方、そんな彼の様子に気づいているのかいないのか、2人はオノハラの言葉に首をかしげる。
「何か怒られるようなことしたっけ?飛鳥ちゃん」
「いや、皆目見当がつかないよ、狂子くん」
呑気に会話する2人に、心が折れそうになりながら、オノハラは話を続ける。
「狂子、飛鳥。お前たちが先日の任務で何をやったかよく思い出せ」
「……何かしたっけ?飛鳥ちゃん」
「いや、いつも通りだった気がするが」
先程と同じような会話をする2人に、オノハラは微笑んだ。
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