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「赤ずきん~赤ずきん~」
「赤ずきん~?」
「おい!シカトするな!」
『何よお母さん。今悪魔王ギラテスを召喚してるから忙しいんだけど?』
「何恐ろしいことしてんのよ!」
『マカラフィラテスアバユクシ…』
「続けるな!続けるな!」
『も~…何?』
「おばあちゃんにこれを届けてほしいの」
『……………』
「あからさまに嫌そうな顔しないでくれる?」
『だってそれを届けたところで私にはなんのメリットも無いじゃない。世の中等価交換よ?』
「我が娘ながら素敵な性格してるわね…いいわっ、行ってくれたらこれをあげる」
『そ、それは…!!!』
「そう…世界の名廃墟100選!母さんの趣味のど真ん中よ!」
『いらない』
「え………?」
『い ら な い。私廃墟なんか1ミクロンも興味ないもの』
「ま、まさかこれを断るなんて想定の範囲外よ…」
『私を動かそうなんて100年早いわこの愚民がっ☆』
「じゃあ行かなかったらあなたが大切に育ててる盆栽を売り払うことにす…」
『よし、行ってきまーす!』
「あれ?行きたくないんじゃなかったの?」
『ちょうど散歩でもしようかと思ってたとこだから!』
「そう?じゃあお願いね!あ、ちなみに荷物の中身覗いたら承知しないから」
「…って言ってる傍から堂々と覗かないでもらえる?」
『何これ?』
「おばあちゃんが前から欲しがってた空気清浄機よ。プラズマイオンが出るやつ」
『え、これ届けろって?おつかいの域超えてるってかもう拷問に近いよね?ねぇ?ねぇ?』
「さてと…私は廃墟探しでもするかな~」
『シカト?シカトなの?自分で言うのもなんだけど私は確実にあんたの娘だよ!』
「つべこべ言ってないで早く届けに行く!」
『鬼!悪魔!お前の母ちゃん廃墟マニア!』
「なんとでも言いなさい。私の心には響かないわっ」
『行ってくるわよ!行ってくればいいんでしょ!?』
「よろしい。気をつけてね~」
『くぅ…じゃあ行ってくるでござる』
「行ってらっしゃーい☆(語尾にござるを付けたのをそう安々とツッコんでもらえると思わないことね)」
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