■02:砂浜の彼女

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この裏手にある砂浜…。 昨日、あの女の子と出会った場所だ。 彼女はまた来ているだろうか? 一度あの子には御礼を言っておきたい。 真っ直ぐその砂浜へ向かう。 …絶えず鼻を突く潮風。 引いては返す波。 しかし足跡一つないその砂浜には、やはり誰もいなかった。 まあ、別に会えるという保証は無かったことだし。また別の日でもいいだろう。 そう思って病院の方向へ引き返そうとした、その時、 「…君」 1人の男の人がすれ違いざま、こちらに声をかけてきた。 俺より少し年上で、眼鏡をかけていて、優しそうな人。 俺には全く面識のない人物だった。 「何ですか?」 「砂浜の方へ歩いていくのが見えてね。悪いけど、少し気になって覗かせてもらったよ」 「どうしてそんな事?」 「君、誰か探してるみたいだったからさ。…もしかしたらあの子かなって」 「………………」 「やっぱり、そうなんだね?」 「彼女の事、知ってるんですか? あなたの知り合いだったりとか?」 「そんな親密な関係ではないよ。ただ、妹はその子を見ることができるらしくてね」 「見ることができる…?」 「まあおいでよ。僕は佐波司麻。君みたいな人間にはあまり出会えるほうじゃないからね」 彼はそう言ってうっすら笑みを浮かべると、俺を病院へ誘った。
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