■01:プロローグ

3/6
前へ
/111ページ
次へ
ザザ…、 別に、そこに用があったわけではない。 病院のすぐ傍にある、名もない砂浜。 沈みかけた夕陽に、絶え間なく繰り返す潮騒。 足跡一つない、隠れた場所。 ただ、ここに居れば何となくこの暗い気分が少しはマシになるような…そんな気がした。 どれほどの時間そうしていただろう。 やがて陽は紅く染まり、この町と同じ名の¨夕暮¨の景色を醸し出す。 それから時間が経つのは早い。 そう思った頃には、もう一番星が天で輝く程暗くなり始めた。 流石に、この状態で夜道を歩くのは危険だ。 そう思って、腰掛けていた砂浜から立ち上がろうとした時…、
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加